引き出しから懐かしい物が出てきました。
コダックの修整ニスです。
といっても最近の若い方々は「なにそれっ」ということになるのでしょうね。
私にとっては父母の香りなのです。
家業は写真屋、小さい頃から家の手伝いで暗室へ・・・踏み台をしてもらって定着係、現像から上がってきた白黒写真を大きな定着液のバットのなかで一枚一枚写真を動かす役。
物心ついたときから家の手伝いは当たり前、父母は長い時間修整台の前で黙々と修正作業。
時折小瓶に刺した小さな刷毛で白黒のネガに一滴落として布でくるくる押さえながら伸ばして塗りつけます。
なんだかとてもいい匂い。
そして、長く芯を伸ばし研ぎ上げた修整鉛筆が丸く抜かれた光の中、ネガの上を軽やかに走り軽いこすれる音が聞こえてきます。
それが、写真の修整ニスから思い出される記憶です。
私の代になってニスもあまり使わなくなり揮発成分が飛び粘りが強くなるのでテレピン油か写真のようなピネンを使って少し希釈すると今まで通りの粘度に戻り作業できます。
ずっと引き出しの中で眠っていたのですが・・・最近は年に何度か別の用途で使っています。
最後の一本と思って大事に使っていたのですが、これだけあれば一生使えます。(仕事ができる期間は残り少ないので)
蓋を開けて匂いを嗅ぐといっぺんに50年以上前の記憶が蘇る魔法のニスです。
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